学芸室より

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茶の湯への招待

茶の湯への招待
 
美術館内の展示茶席
 “お茶”  と聞けば、たいていの人は「堅苦しい」「むずかしい」などと思われるでしょう。たしかに「きまり」 や「習い事」を強制するような教え方をする人もありますが、本来の茶の湯はもっと楽しく、なごやかで、そして心が癒されるものです。ただスポーツやゲーム を楽しむには、そのルールを理解しないと参加できないように、茶の湯にもルールがあります。しかし最低限のルールさえのみこんでしまえば、簡単に、気楽に 茶の湯を楽しむことができます。

 
雪村周継筆 風濤図
雪村周継筆 風濤図
 茶の湯はいろいろな楽しみ方ができます。
 たとえば茶会で出される料理や菓子の味を楽しむ、また、茶会で使われる掛物や焼物を楽しむ、茶会に集う人との出会いを楽しむなど。そして茶の湯は日本人の心のふるさとであり、日本人の美意識の根源でもあるのです。
 
上杉瓢箪茶入
上杉瓢箪茶入
 茶会の料理は、出される内容や順序がフランス料理ととてもよく似ています。オードブルと向付、スープと汁もの、メインディッシュと焼物、デザートと和菓子、コーヒーと抹茶というように。かけものや、やきものを楽しむためには、まずよく美術館や美術商をのぞいてみることです。そのうちにきっと自分の好きなものがわかるはずです。自分の好きなものがわかったら、次にはとりあえずは安いものでよいですから、湯飲みとか小皿とか日常でよく使う物を買ってみること。 すると愛着がわき、また同時にもの足らなさも感ずるようになります。そうこうしているうちに、やきものにすっかりはまった自分が見つかるでしょう。
 
蕎麦茶碗 銘藤浪
蕎麦茶碗 銘藤浪
 そして実際に茶の湯をよく知っている人に茶会に連れて行ってもらいましょう。その時は、できるだけ少ない人数で行われる茶会にしたほうが、茶の湯の楽しみをよりわかることができます。

  このようにして茶の湯の楽しみが少しでもわかったら、今度は茶の湯を習ってみましょう。教え方は先生によって千差万別ですから、いろいろな人に尋ねて、この人ならと見定めてから門を叩けば、きっとあなたの望むような茶の湯を教えてもらえるはずです。
 

能楽への招待

能楽への招待
 
白式尉(翁)

 能を表現する言葉としてよく「幽玄」とか「雅び」とかが使われますが、能楽とはいったいなんでしょうか。

 能楽とは演劇であり、それにはバックミュージックが付きます。小鼓・大鼓・笛・太鼓の楽器による伴奏とコーラスである地謡、これに演者のソロ(独唱)が絶妙のハーモニーを奏でるのです。
 能楽はまた仮面劇でもあります。仮面を付けることによって、演者は登場人物になりきることができます。たとえそれが子供であっても女であっても、また時に幽霊であっても。仮面は一つの表情しか持ちませんが、演者の動きや姿勢によって、笑いも悲嘆も表現できるのです。

 能楽は象徴劇でもあります。演者の動きは一見緩慢に見えますが、実はその所作のひとつひとつに、様々な想いが込められています。そのため言葉のわからない外国人にも感情が伝わり、外国公演でも絶賛されるのです。

 
孫次郎
孫次郎
 能楽を楽しむには、まず演じられる曲目のあらすじを頭に入れることです。できれば、もとの物語を知るにこしたことはありません。そのあと謡本に目を通し、あるいは持参して、いまどの部分が演じられているのかを確認することも、理解を助けるでしょう。 そして実際の公演をできるだけ見ることです。著名な能楽師による公演は料金が高いので、稽古の会など常に行われ、気楽に身に行ける公演から見るとよいかもしれません。
  
 能楽には独特の能面と、装束が用いられますから、それらについての知識を身につけることも、能楽をより楽しむ手段となります。時には能面だけ、装束だけ に注目して鑑賞するのも一つの方法ですし、あるいは小鼓や笛、地謡に注目したり、演者の手や足の動きを追っていくのも面白いものです。

 
段四季草花紋縫箔
段四季草花紋縫箔
 また夏になると各地でよく行われている薪能や蝋燭能を見るのも、能楽堂で鑑賞するのとはまた異なる雰囲気を楽しめて良いでしょう。闇の中に浮かび上がる炎の光の中で演じられる能楽には、背筋がぞくっとするような、妖気すらただようことがあります。
 

【注意】

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